Budounokura’s blog ソムリエの つぶやき

京都 祇園のオールド ヴィンテージ ワインバー 店主のソムリエの 日々の つぶやき です!

600年か

ふーん、2月らしいと言うか寒い状況に昨夜は吹っ切ろうとしておりましたが、やはりこんな時にご常連のムッシュの救いが。その後に約2年ぶりくらいかな?北海道からのムッシュが。スクリーミング・イーグルの面影が遷ろう彼に。
・Stature Limited Release’97 Kendall Jackson
・Scentenario’85 Antinori
以前、西村さんのセラーで手が出せず購入を渋っていたこのケンダル・ジャクソンの特別なライン。裏張りのエージェントさんがこれまた切なさを募らせますが、抱き合わせのようにお安くしていただきやっと。
そろそろ、円みも感じられる時期かな?と思いましたが開けたては、やや輪郭のぼやける落ち着きのない仕種に今宵を象徴するようで。ただ、今宵も悪魔の囁きの如くシガーに手を伸ばしてしまうオジサンへの階段を昇る二人でした。そんな二人の時間はゆっくりと過ぎて行き、中盤からのまとまりは淑女への変貌を。このあたりから賑やかな団体さんに圧されてしまい。
マグナムぐらいはないとあっという間の空ボトルが想像され。変わらず力を求められるムッシュでしたが、知らない間にワイン・アドバイザーの資格を手に入れられ。熱心な世代なのでしょう、素晴らしく。ただ、1500mlは熟成したものばかりで。トスカーナの由緒正しいアンティノリは1385年からのギルドの歴史なのですかね、600年のアニヴァーサリーを讃えたこの稀少なマグナム・ボトルは、何とも言えない時の重みに感慨を抱かされました。血筋を同じくするサッシカイアの’85の異常な高騰に比べればこの1本は十分過ぎる位、洗練され儚げなアタックからゆっくりと幅を広げながら後半の余韻に持てる全てを表現する伝統的な造り手にのみ与えられたフィネスを。ただ、幾分宴会のようにマグナム・サイズのデキャンタからどぼどぼと注がれてしまう600年の儚さは別の意味で・・・・・・。まあ、そんなものか。

            Sommelier R.Imamura