Budounokura’s blog ソムリエの つぶやき

京都 祇園のオールド ヴィンテージ ワインバー 店主のソムリエの 日々の つぶやき です!

交響曲

4月のカウンター・バックには、ここ4年連続で加山又造さんの円山公園の枝垂桜が添えられております。清水の宮司さんは、子供の頃から見てきたこの霊的な美しさを持つ桜に感慨深げにつぶやかれましたが、めりはりのある祇園のお姉さんとの駆け引きにこの街のらしさを感じつつ。
相変わらずゆったりとした4月に、例年とのギャプを感じざる負えないこの晩でしたがそこを見越してお越しのご常連も。いつもながら眼の覚めるような美女を伴われ同い年とは思えない粋な飲みっぷりで。
”1本のワインは交響曲であり1杯のグラスはメロディのようなもの”
・Opus One’81 Mondavi & Baron Philippe
とても美しい台詞と共に美的感覚の鋭さを、認めざる負えないムートンのフィリップ男爵。残念ながらクオリティ以上に存在の意味合いで、リストの中に揃えて置かなければならない感覚までも持たせてしまう特別なカリフォルニアの素晴らしき1本。
仕入れに悩みつつも必要がある以上買い続けるこのオーパス・ワンに私自身も躍らせられている1人のソムリエでしょう。先日お飲みいただけたハーフの’01がカウンターに無造作に置かれていたこともムッシュの気持ちを動かされ、最近某御茶屋さんで若いオーパスを大量の本数飲みこまれたのもきっかけだったようで。
今回の’81は今までで一番意外な程完成されており。リコルクかな?と思うほどオールドのオーパスの中では、ロング・コルクが打栓されており浸透具合からもそんなことは有り得なく。’87以前の彼らにはボルドーとは比較に為らない弱さをも見出すこともしばしばでしたが、今宵他で扱わせていただいたデュアール・ミロンの’81を優に凌ぐ構成要素の豊かさに今回も甘えさせていただき半分ぐらいは私の体に染み込みました。
23:00から0:00の云わば私のまかないの時間帯を狙われほぼ貸切の状態にあることを見越された彼の狙いは的中しておりました。お席を立たれた数分後にその街の皆様のご来店で今宵も4:00でしたが。

               Sommelier R.Imamura