Budounokura’s blog ソムリエの つぶやき

京都 祇園のオールド ヴィンテージ ワインバー 店主のソムリエの 日々の つぶやき です!

ヴィンテージ

ワインとは過去を遡ることの出来る飲料で、そこに付随する様々な思いが込められそして心に刻まれる特別なものだと・・・・・・・・・・。
10年の時を経てやっとそのワインの本来の姿を浮かび上がらせる上質なグラン・ヴァンは、全体に円みを帯び複雑なニュアンスを持ち味に。
ボトルのリストにはそんな珠玉の芸術作品がずらりと並べられておりますがそのぶんプライスも美術品を眺めるようなもので・・・・・・・・・・。
昨今のユーロ高や中国、ロシアの経済の特化とオールド・ヴィンテージの玉数の減少でワインの原価も随分と上昇しました。何時の時代も強いものの手元にたどり着く特別な力を持つものは投機の対象としても長く認められております。私ぐらいのソムリエでも自宅に300本を優に超えるストックがあるのですから。
そんな稀少なワイン達を色々な感情を抱きながらセールスする場面も。特にグラス・ワインはワイン・バーでは当たり前なのですが、自分自身との葛藤も迫られます。出来る限り上質なものを、出来うる限りコナレタ状態の飲み頃のものを。そんな気持ちで昨年まではボルドーの特級シャトーでも’94’98など意味があるものが随分扱えましたがもう市場にもコストとクオリティが見合うアイテムが非常に少ない。今宵なども
・Chateau Talbot’02 St Julien
ボルドーの4級の素晴らしく濃縮されたヴィンテージ’02。例年並みのやや平坦な年のこのワインは、逆に理解に耐えうるグラス・ワインではございました。力強いストラクチャーに樽のロースト香が溶け込んでおりグラン・クリュの素性を十分に感じさせ。
未だ5年の時の経過しか経ていない若いワインですが、そろそろ私自身の感覚も少しづつスライドして行き2000年を越えたヴィンテージも扱うべき時代に突入してきたのでは・・・・・・・・・・。
ノスタルジーに浸りたければやはりボトルでの選択が迫られますが。

               Sommelier R.Imamura