Budounokura’s blog ソムリエの つぶやき

京都 祇園のオールド ヴィンテージ ワインバー 店主のソムリエの 日々の つぶやき です!

兄弟

突然の雨に襲われた、水曜日は出だし芳しくなく。ご常連さんと、以前のアルバイトの恵理ちゃんの寂しげな状況に「大丈夫?」と心配のお言葉も。確かに今宵は、不安視する部分も多く。ですが、後半の伸びは意外で前半が嘘のような結果に。今宵は、苦し紛れに開けてしまったブルゴーニュの熟成を。利益の幅は少ないものの、良い仕事をしてくれた1本でした。
・Gevrey Chambertin Lavaux St Jacques’88 Rene Leclerc
実を言うと、もうすでに3日前にお開けしたこのボトル。さすがに、モラルが問われるところでしたのでリストからは削除しておりました。とはいえ、理解される方にはチャンスはあると、セラーで待機させ。予想通りこられました、ご常連の東京からのムッシュは今宵もお一人で。ボランジェとピュリニー、そしてニュイ・サン・ジョルジュと試されたあと、理由と状況をご説明していた’88に。
ジュヴレでもど真ん中に居を構える有名なドメーヌのひとつは、ルネとフィリップの兄弟がワインを作っており、そのまま彼らの名がドメーヌの名になっております。実を言うと個人的には、新樽を贅沢に使い続けるフィリップの方が好みではあるのですが、今回はルネもリストの中に。
’80年代の彼のワインは、古樽の使用のため清潔感が失われピュアな果実味は求め難いと言われておりました。ソムリエのなかでも、兄弟の好みははっきりと別れどちらがより上質かは、一概には言えない感じで。まあ、そんな部分がワイン・リストを眺める上で、一段と楽しみを産みます。各個人の志向が、統一されたリストはそのお店とそのソムリエの信頼感を感じさせるのでは。
そんなことで、ワインは開けたては酸が目立ち熟成ワインとしては、グラスとしてスタートのインパクトは弱く。ですが、二日目には、香りが開いておりより甘くセクシーなつややかさに。そして、今宵三日目には確かに時間の経過を感じさせるものの、一段と酸はこなれお好きな方が愛でられる優美なバーガンディに。お人によってお勧めのアイテムは、変わるもので。
そんな今宵は、対応しきれずに困ったサッカー好きのゲストにパソコンをお渡ししてワールド・カップの経過報告をさせてしまった罪なソムリエをお許しください。

             Sommelier R.Imamura