Budounokura’s blog ソムリエの つぶやき

京都 祇園のオールド ヴィンテージ ワインバー 店主のソムリエの 日々の つぶやき です!

パニエ

新しいものの輝きにいやらしさをも感じさせられながらも、それ以上にひょっとしてもう10年の使用に耐えたのでしょうかワインのボトルを支えてくれるパニエのくすんだ全くの輝きの無さに恥ずかしさを覚え。特に日常の自分のスタイルに麻痺してしまっていることを改めて見つめる形の瞬間でした。
・Chateau Chasse Spleen’93 Moulis
連日のムッシュは、今宵はまた異なる方をお連れで。「グラス2杯づつとグラッパ1杯で帰る」とのことでしたので「そうか、私も2杯いただけばもうボトルですね」と甘えてしまう自分もどうかしておりますが、気持ちよく受けて立たれるこの方の粋さにいつもこう在りたいと。
昨夜のオーバージュ・アブルー’88の感じからも、このところはボルドーのセカンドや格付け下位のシャトー、もしくはブルジョワのいぶし銀の造り手がお口に合われて。何れに於いても熟成感が感じられなければいけないのですが。そんな今宵はグラスでと言われるぐらいなので大分良い感じに酔われているはず。’90年代前半でも15年の熟成を迎えており、そろそろ面白みも放つこのシャス・スプリーンは、名前の由来にもストーリーが在り。偶に気分の定まらない時に弦を担ぐように使われることも。漲らせるような力はこのワインには、感じられないものの緻密に計算されたような果実の熟れかたと酸の穏やかさにタンニンが少し収斂するバランスはとてもエレガント。かわされる会話とはちぐはぐな印象もございますが、これもまた祇園街の宿命かも。
そして昨夜もまた深夜3:00ごろのお電話が。大体どなたかは想定の範囲内で、覚悟は決められ。ただ、今夜は珍しく4名様の男性陣で蝶ネクタイを外していた私も流石にもう一度リセットを。経営者の皆様ですが、おそらくはたから見るとどのような兼ね合いの皆様かは想像しにくく。年齢差も大きく、体格も格闘家からスリムな方まで。ああ、それにしても男性陣が集まると大体の話の大筋は限られてきて。その上個性豊かな皆様には感心させられる欲望とその方向性に尽きぬ晩ではありました。

            Sommelier R.Imamura