Budounokura’s blog ソムリエの つぶやき

京都 祇園のオールド ヴィンテージ ワインバー 店主のソムリエの 日々の つぶやき です!

クレ デュ ヴァン ご存知?

金曜日、期待の週末は予想に反して恐ろしく暇な状況にシェフはご近所さんへの出前までがんばってくれました。
それにしても、10月は9月後半からの難しい状況から抜け切れないジレンマに襲われております。
そんな今宵は、兼ねてより試してみたいと興味本位にて感じていたワイン・グッズを初体験させていただけました。
”クレ デュ ヴァン”フランス人のソムリエでヨーロッパのコンクールでも優勝経験のあるフランク・トマとワイン・ディレクターのロレンゾ・ザノンが開発した金属を使用しワインにその器具を浸すことによって1秒で1年間の熟成を可能にしたアイテムです。
正直いってそんなアイテムがまかり通る訳が無いと思っておりましたし、ましてやそんなものが認知されたらワイン・リストにオールド・ヴィンテージを揃える必要性が無くなってしまいます。現にリリース直後のワインばかり揃えてその器具を使用しているお店など存在しないのですから。
ただ、知的欲求心を大前提に持つワインと言う物にはそんなものもありなのかと・・・・・・・・・・。
ためされたワインは
・Chateau Mouton Rothschild’94 Pauillac
グラスを2脚づつ並べられたカウンターには、片方がそのままでもう一方が20秒ぐらいクレ・デュ・ヴァンに浸されたワイン。確かに違いました!12年前とは言えムートンの’94は未だに抜きたては活き活きとカシスのニュアンスが支配しておりましたが、もうひとつははっきりと違うものに。正直言うとタンニンが落ち着いており、円みを帯びておりましたが、香りに熟成香が感じられなく例えばヴィンテージ’70のムートンとは比較にはなりませんが。
ただ、化学反応を楽しんでいるワインに於いてやはり味わいが変わるということが素晴らしく表現としては難しいですが看板には、偽りは無いと言ったところでしょう。ゲストの皆様も明らかに違いを感じられておられるところもまた興味深いところでしょう。
個人的には、色々な観点を含めてトータルで楽しむべきワインです。願わくば私のカウンターでこのクレ・デュ・ヴァンを使用される方がおられないことを祈ります。

               Sommelier R.Imamura