Budounokura’s blog ソムリエの つぶやき

京都 祇園のオールド ヴィンテージ ワインバー 店主のソムリエの 日々の つぶやき です!

今宵おくるシャンパーニュでも

本日はご近所のバーテンダーさんの西田さんに、変な場所で偶然に。ここで知らされた悲報は、予期はしていたものの残念で。京都の酒場と食を愛する貴重なお人を失いました。私自身は先代の山口さんの頃からのご常連様として、4年ほどのお付き合いでしたが、ある意味この方がおられなければ今の私はおりませんでした。2年前の大晦日の新年を迎える瞬間、この方を含めワインバーのカウンターではロマネ・コンティ’73が開けられておりました。
ここ「ぶどうの蔵」を任せていただき、そんな折に触れてこのムッシュより「死ぬ前に一度ロマネ・コンティを飲ませてくれ」とご依頼をいただいたのが事の発端。ソムリエ冥利に尽きるお言葉でしたが「そんな縁起でもない」と軽く流した記憶も。
約半年の時間をかけてロマネ・コンティを含めたヴィンテージ’73のブルゴーニュの赤ワイン4種。併せてシャンパーニュの’73もプラスして計5種の私の生まれ年の偉大なワイン会は定員の8名を超え9名様にて記憶に残る私には貴重な思い出に。
その後は、お越しになられる度に「あの時は、おいしかったー!」と私どもばかりではなく、よそ様でも随分宣伝していただいたようで・・・・・・・。それもつかの間、体調を崩されパッタリと足も遠のかれ。後で伺うと、食道癌で集中治療を受けておられたらしく。そして、昨年の暮れも押し迫ったある晩に「病み上がり一番最初のお酒は今村君のところで」とグラス・ワインを二杯お出ししたのが最後のサーヴィスに。
残念なことに、日ごろの生意気な行動が問題なのか、本日のお葬式すら存じていなかった為、お線香もままならず。一応、鶉亭の山口さんには夕方お電話はいたしましたが彼も伺われてはいないようで。そんな点では、私は静かに見守る立場で良かった気もいたします。
なんとも、悲しみにつつまれた今宵でしたが忙しさが紛らわせ。皮肉にも毎年の大晦日は、先の西田さんのK6さんにて過ごされていたこのムッシュ。今年だけはと、わたしの「ぶどうの蔵」にてカウントダウンをされたこのことを、「もうロマネ・コンティを飲んだから、思い残すことはない」と言われていたそうで、本日西田さんより伺った何とも巡り合わせな心を震えさせるお言葉でした。
安らかに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

              Sommelier R.Imamura