Budounokura’s blog ソムリエの つぶやき

京都 祇園のオールド ヴィンテージ ワインバー 店主のソムリエの 日々の つぶやき です!

ブルゴーニュの思い出

雨混じりのすっきりとしないお天気でゲストもパラパラと。メリハリが無く立ち続けるカウンターでしたが、後半にかなり久しぶりになられるワイン・ラヴァーが。四国からのムッシュは、以前もワイン会などではお世話になり。今宵もお元気そうなお姿に、選ばれたワインの銘柄も含めて記憶が蘇るひと時を。
・Gevrey Chambertin En Champs’95 Philippe Leclerc
ジュヴレの街のど真ん中にセラーを持つ彼は、映画俳優のような男前で昨夜のムッシュもエリック・クラプトンのようだと。
新樽を使用し強固なピノ・ノワールに仕上げられた彼のワインは、予想通り未だ・・・・。12年の時はそれなりに当たりは柔らかさを感じさせるものの後半の余韻に収斂性をはっきりと。幾分、青さをも感じさせこの辺りが彼のスタイルかな?と思わせながらも、直ぐに飲み頃を迎えるスタイルの造り手とどちらが良いのかは考えさせられます。
ワインを飲みながらの私を含めた男性3人の話題は、らしく高騰するワイン市場の為りの果てでしたがその中に’05ヴィンテージの話題は中心に。
奇しくも私共がフランスを訪れた年に重なり、このフィリップ・ルクレールも訪問出来たドメーヌの一人で。こんな偶然がワインの世界感をまた広げてくれるいきさつでしょう。実は意外な程に清潔さを欠いた彼のセラーでは、試飲されたワインをセラーに吐き出す当主の姿はあまりにも印象的でした。まるで工場のようなボルドーのセラーとはかけ離れた存在で。それでもこれだけ頑丈で素晴らしいワインが仕込まれていることに、評価は与えられる存在で。
そんな時またひとつ思い出されるのが、他界された私にとってはとても重要な顧客のムッシュがこの造り手を好んではおられなかったこと。比較的、広いレンジでお飲みいただけるワイン・ラヴァーだったのですがブルゴーニュとして求めておられた味わいとはかけ離れておられたようで。柔らかい果実味と繊細な余韻を好まれていたのでしょう。晩年にお飲みになられたロマネ・コンティ’73を亡くなられるまで、通われる数件のバーでも話のネタにされていたようですが今も天国で夜な夜な嗜まれておられるのでしょうか。郷愁に駆られる冬の今宵で・・・・・・。

             Sommelier R.Imamura