Budounokura’s blog ソムリエの つぶやき

京都 祇園のオールド ヴィンテージ ワインバー 店主のソムリエの 日々の つぶやき です!

お気に入りは

ソムリエとは、ワインのコメントに関しても出来るだけポジティブな部分のみを簡潔にお伝えすべき立場かと。ただ、お気持ちが近づけば近づくほど本音と建前が混同されてしまうのも事実でしょう。昨夜は意地悪かもしれませんが、カウンターでのお隣さんに起こった出来事でワインを選択させていただき。
世界的にもビッグ・ネームでしょう、そんな企業の重鎮のお二人ながらも今宵の宴席でのワインにネガティブなイメージを。しかも、お持ちの方はお二人がお勤めになられる社の代表の方で・・・・・。
・Chateau Gruaud Larose’88 St Julien
・Hermitage La Chapelle’83 Paul Jaboulet Aine
そんな当て馬にされてしまったのは”王のワイン、ワインの王”のラベルも勇ましいサンジュリアンの2級のグラン・ヴァン。ましてや’88はまだまだ硬さは残すものの、デキャンタージュ後の拡がりは流石グラン・クリュといった高貴さを纏うクラレット。まあ、ブルゴーニュ・ラヴァーにはどうしようも無いくらい最初の印象はアルコール感の勝る未だじゃじゃ馬かと。
それでも、そんな出来事に同一銘柄がストックされているセラーも素敵でしょ?そしてこちらを躊躇無く楽しまれ、お二人に振舞われたムッシュが、また一段と。
あっと言う間のハーフ・ボトルは2本目に。攻め手を変えた酒質は、このところ”本当に美味しい!”とその存在を俄然評価しなくてはと心募らせるローヌ。これまた熟成のピークに到達しつつある’83のシャペルは、正しくクラッシックな造り手の持ち味を如何なく。素晴らしくジューシーな果実味に溶け込んだムスク、生肉の血のニュアンス、タール、ヨード、アミガサタケなど香りはブルゴーニュとは一線を画すもののよりセクシーな印象が。個人的には本当に美味いものは・・・・・・。と至福の時を過ごしながらも。
ただ、こちらのムッシュがおっしゃられた「もう飲めないワインがある」とのお言葉には、全てのワインとの架け橋に成るべきソムリエとしては幾分考えさせられる課題でした。とは言えお勧めしているのは私ですので実際は私の偏りも大きいのですが・・・・・・・・。

           Sommelier R.Imamura