Budounokura’s blog ソムリエの つぶやき

京都 祇園のオールド ヴィンテージ ワインバー 店主のソムリエの 日々の つぶやき です!

100点ワイン

7月のスタートは何とも寂しげな雲行きでしたが、1:00以降の勝負に。実際の比率としては三分の二のゲストがこの時間帯に昨夜はお越しになられ正に祇園街のらしさを久しぶりに。
今宵は前世紀の後半を代表する特上のグラン・ヴァンが。
・Chateau Mouton Rothschild’82 Pauillac
パーカーさんが満点を付けたもので、メディアや媒体などでも偉大なワインとして最も露出が多い銘柄のヴィンテージでは。今宵は随分ご無沙汰でした’82の祇園のお姉さんが。どうやら決め打ちらしく「飲んでもいい?’82のムートン!」とはっきりと。こちら側としては、ムッシュの曖昧な返答には対応しかねますので「大丈夫なんでしょうか?」と冷静に。ただ、今宵はマダムの勢いに分がございました。となると、お気持ちが変わらない内に急いで。セラーの中でも一際、目に付く五大シャトーのゾーンで出番を待つパーフェクト・ワインが。
ただ、個人的には少ないながらもこのムートンの’82には釈然としないテイスティングが続いておりました。世間的のも評価の高いこのワインですが、例えば先日のラフィット’85などの手放しに素晴らしさを感じられるボルドーでは。そんなこともあり今回は、長い時間このワインに向き合っておりました。ただ、複雑ながらもデキャンタの中にグラス1杯分ぐらい残されてマダムは今宵の終焉を向かえ。幸運なことにシェフと偶然お越しのもう一人の’82のお姉さんへとお裾分けを。私もより時間をかけて。五大シャトーの中でも好みが賛否されるこのシャトー、ラフィットとは全く異なる印象ですがいつも彼の’82はムートンにしてはエレガントに感じられ。この手をパーカーさんが好むとも思えないようなスタイルなのですが、今回じっくり飲み込んでみて感じたことが。繊細さの中に実はもうひとつ奥に引き出しが隠されていてジンワリと旨みが余韻に溶け込んでいるような。恥ずかしながら個人的にはクイッと飲む方でして、このムートンは少し浸りながら飲むようなワインの感覚を覚えさせられ。
それにしてもお高くなってしまいましたね。今回もお支払いいただいた額でも購入出来ないお酒屋さんのプライスばかりが眼に付きます。
うーん、意外な展開な一晩でした。それでも美しさは毎晩のパワー・ゲームに欠かすことの出来ない要素なのをまざまざと見せつけられ。Sommelier R