Budounokura’s blog ソムリエの つぶやき

京都 祇園のオールド ヴィンテージ ワインバー 店主のソムリエの 日々の つぶやき です!

生き方

毎晩、中々のワインを扱わせていただきながらも満足行く結果が一日を通じてクリア出来ずに。
今宵もブルゴーニュに取り付かれたムッシュのお電話に楽しみも。
・Clos Vougeot’88 Charle Mortet
時代に翻弄されたのか?自分自身の生き方を見失ったのか。ワインの造り手さんと言うのは本当に大変だと思います。特に小さな区画から自分自身の名をラベルに刻み込み世間にリリースするブルゴーニュの造り手は、ある時は神と謳われる者もあれば手の平を返すように酷評の矢面に立たせられることも。
個人的にはあまり好みでは無かったドメーヌでしたが、数年前に自身によりこの世を去った彼ドニ・モルテ。濃密な酒質のピノノワールで特別な造り手へと階段を上った彼の悲報は、ただでさえ品薄な市場に危機感が。近年の評価の上昇の為私自身あまりリストに加えようとは思ってはおりませんでしたが若いヴィンテージをこんな出来事も有った為か西村さんは上手に勧められ。個人用に幾つか購入しましたが、そんな折にシャルルの名でオールドが見つかり。因果なものだなと思いながらも今宵のようなオーダーが何となく想像され。
「ドニ・モルテはないの?」「オールドのシャルル・モルテのものならございます」心そこに集中される方はプライスがよっぽどずれていない限り試してみたくなるもので。ましてや稀少な先代の名を冠した特級畑の’88ならば。このころの評価自体は正直定まらないものの、その片鱗は十分に。
淡く美しく輝くガーネットから円い酸の香りが上がり、ザクロやプルーンのアロマが。中盤以降にはスモーキーなシガーのニュアンスも帯び、ドライ・アプリコットのような甘みに支配されておりましたが、何処かしら儚げな印象も。
人生には良い時と悪いときも有るもので。ただ、自分自身では解決出来ない時もあるのでしょうか?やり過ごすことで時が経つのを待つこともひとつの・・・・・・・・・・・。
遺作はセラーで生き続けて。

             Sommelier R.Imamura