Budounokura’s blog ソムリエの つぶやき

京都 祇園のオールド ヴィンテージ ワインバー 店主のソムリエの 日々の つぶやき です!

今宵はトスカーナのフランス人

そろりそろりと忍び寄る、初夏の兆しにゲストの動きも少しづつ。今宵も個人的に思い詰まるワインが選択され。
・Chateau Beychevelle’00 St Julien
・Tempranillo’98 San Vincent Rioja
・Tignanello’81 Antinori Toscana
ボルドーの’00は、やはり全体の構成が違う。ハーフ・ボトルのこのグラン・ヴァンさえ素性の違いをはっきりと表現してくれ。ボルドーヴェルサイユは、どこまでも晴れ渡る青空の中ジロンド河を見下ろすように優雅な佇まいを持ちます。凝縮したカシスのアロマにモカのニュアンスを讃え、ボルドーの強い日差しが嗅ぎ取れる特別な1本。
モダン・スパニッシュを体感させてくれたこのリオハのサン・ヴィツェンツォ。’98はスペインにはウニコしか心を動かされなかった私の転換を促した1本。個人的にストックしておりましたが、リストに紛れ込ませておりました。少し熟成の兆しも見えており、仕入原価からは随分と利幅をいただきましたがそれもご納得いただけたのでは。パワフルでありながらもベタツク濃度では無く、エレガントに囁き余韻に力強い主張を。少しづつワインを貯め込んでおられる方々にとっては、こんな楽しみがセラーに詰まられているのでは。
ご常連さんのフランス人とスイスの方が、今宵は悩まれながらもトスカーナへと触手を伸ばされました。ピエモンテと最後まで、決めかねておられましたが安全なボトルを。ティニャネッロ、フィレンツェの貴族アンティノリ家がテーブル・ワインの規格でリリースした特別なワイン。イタリア料理のリストランテで働かせていただいていた時に幾分高価なものとして扱わせていただき、心に残っている思い募るワインの1つ。キャンティに使用されるサンジョベーゼを使用しながらここまで優美な味わいを体現出来るとは。と、それ以降も機会は数多く。それから最愛のガヤなど色々な出会いはあったものの未だに私個人には色褪せない特別。ある方には10年前のトレンドとも言われてしまいましたが、それらもあわせての’81でしょう。萎れた薔薇の香りに後半のタンニンが力を物語り。ボルドーの熟成には無いピュアな果実のスタイルが果てし無く続くトスカーナの丘陵地帯が見え。偶にはフランス至上主義も浮気されれば、素晴らしい出会いも。  Sommelier R