Budounokura’s blog ソムリエの つぶやき

京都 祇園のオールド ヴィンテージ ワインバー 店主のソムリエの 日々の つぶやき です!

ヴィンテージ

久しぶりに顔を見せてくれた、ソムリエ寺林さんの相変わらずの飄々とした姿に少しだけ安堵を覚えた今宵でしたが、やはり個人的にもゲストも含めて高貴なワインには熟成の問われる現実を。
・Vosne Romanee Les Beaumonts’95 Dujac
・Gevrey Chambertin Les Cazetieres’90 Serafin
・Cote Rotie’76 M.Chaptier
この3本を見れば歴然と現実が。ドメーヌ名は私自身とてデュジャックがステージの違いを感じずにはいられません。当然ブルゴーニュのドメーヌでも最も素晴らしく溺愛する造り手です。ですが今回は、私の詰めが甘かったです。選択肢で幾つか挙げられたブルゴーニュでしたが、最終的にはお好みだと言われたドメーヌの名前だけで「デュジャックでいいでしょう」と安易にご常連さんに安直さを出してしまいました。この’95は11年も経ているものの流石にヴォーヌ・ロマネのプルミエ抜栓直後は正直硬かった。
悲しいかなボトル4分の1を残して席を立たれた彼らの後に、群がるように寺林さんがテイスティングを。現実はこの時ヴェールを剥いだデュジャックの隠微なセクシャルを放っておりました。
シャンベルタンをこよなく愛される方はやはりおられるもので。今宵も奥様とお越しになられ前半の閑散時に随分お邪魔をさせていただきました。グレートな’90。造り手を考えればまだまだ硬さはあるでしょうがセラファンは大丈夫。柔らかく仕上がった彼等のピノ・ノワール菩提樹のアロマを感じさせながら吉野から通っていただけるご夫婦の飾らない素敵な夫婦のお姿に重なり合わされる優しい味わいで・・・・・・・・・。
目ざとくシャプチエのロティ’76を選ばれたソムリエ寺林さん。悲しいかな一緒に働くと好みのテイストは似通ってくるもので。まあ、上手いものは試すチャンスがあるか無いだけで彼はそのチャンスを”ぶどうの蔵”で得ていましたから。湧き上がるなめし革とクローブの香りは、ヴィンテージのリスクなど吹き飛ばす素晴らしい熟成を得ており甘い甘いジャムを噛み締めるが如く、酒豪の彼等に飲み干されました。流石のチョイスだったのでは、だけどそろそろ配膳のアルバイトからちゃんとした職に就いてください。また来てね!

               Sommelier R.Imamura