Budounokura’s blog ソムリエの つぶやき

京都 祇園のオールド ヴィンテージ ワインバー 店主のソムリエの 日々の つぶやき です!

カリフォルニア・カルト

連日のダイナマイト級のワインのオーダーに、桜の時期を感じさせられました。北海道からのご常連は、ここ最近はカリフォルニアがお好みのようで。先日もカルト・ワインのひとつマヤを開けられ。今宵は、以前よりちらりとお話はさせていただいておりましたが、ついに。
・HARLAN ESTATE'93 Napa Valley
カリフォルニア・カルトの代名詞的な存在のハーラン。エチケットの美しさも合いまり、その存在感は私のなかではピカイチでなんとも魅力的な存在で。また、ストーリーも豊富であのロバート・モンダヴィに刺激を受け高品質ワインの生産に’80年代から着手。また、所有畑もあのマーサズ・ヴィンヤードの上の斜面12.8ヘクタールにボルドー品種のみを栽培。’90年よりワインは全てプリムールで売られ、コンサルタントにもあのミシェル・ロランが起用され「ぶどう栽培からワイン醸造まで最高のワイン造りのためにはコストと労は惜しまない」をコンセプトに。ひとつとして、搾汁を一切行わずフリーラン・ジュースのみを使用し醸造することなどが、非常にストイックな生産者かと・・・・・・・・・・・・。
やっと13年の時を経た豊満すぎる液体は、おそらく他のヴィンテージもテイスティング・コメントに大きな違いがないであろう、カシス、ブラック・チェリープルーンなどの凝縮したアロマに支配され、複雑なブーケを持ち合わし大ぶりなタンニンの質感は芳醇でシガーのユミドールの中に迷い込んだかのごとく。余韻も上質な柔らかさがやや見え初めており、エレガンスも感じられる偉大なカリフォルニアのスーパー・プレミアム・ワインでは。
お誕生日の前祝のようでしたが、存じていなかったムッシュのバースデイ・ヴィンテージは’56でした。気付けば、あるじゃない!五大シャトーのストックが、ましてやシャトー・ラトゥールですやん。唯一の問題は、この生産年は戦後最悪の年のひとつ。1709年以来の極寒の冬。夏も寒く長雨。「手を出さないこと」燦燦たるコメントにネガティブにも、ですがラトゥールはこんなヴィンテージでも期待に応えてくれないかと抜栓が楽しみな来週では・・・・・・・・・。ちなみに、昨夜のポンテ・カネ’82のムッシュがこの方と同い年、彼の反応を見て仕入れたリスク孕む1本はこうやって一期一会のチャンスを手からすり抜けて行くのでした。だって、次は見つけられない!