Budounokura’s blog ソムリエの つぶやき

京都 祇園のオールド ヴィンテージ ワインバー 店主のソムリエの 日々の つぶやき です!

グラシア '97

新進気鋭の造り手が、群雄割拠する「サンテミリオン」・・・近年のワイン造りは、目覚しいものがあって、「資本」と「英知」と「近代化」が「ニュータイプ」のサンテミリオンを造り上げている・・・とあるワイン雑誌の特集に登場する造り手たちに、その地に根ざした昔ながらの「顔」は少なく、「'94」〜「'98」の間に資本を投下してきた「ニューカマー」が目白押し状態で、そんな中、去年いきなりの「トップ」に踊り出た「グラシア」を割りと「リーズナブル」にオンリストしている・・・「'97」に、1.2haの畑を購入し、「'98」に0.5ha、「'02」には、別の場所に1.24haを新たに買い足し、メルロー80%/カベルネ・フラン15%/カベルネ・ソーヴィニヨン5%のアッサンブラージュから「サンテミリオン」を超えた、どちらかと言うと「メドック」寄りの「熱い」ワインを産み出している・・・造り手の“ミシェル・グラシア”は、歴史的建造物修復の名高い専門家で「緻密さ」をモットーとする彼は、収穫に40人、それも良し悪しを見分ける目と細かい作業に、自分と生業を共にする優れた建築美術の修復技術者を雇ったり、かの「ヴァランドロー」の“ジャン・リュック・テュヌヴァン”よろしく、「徐梗」を全て手作業で行うという徹底振り・・・その甲斐あってか、あまり良い年でもない「'97」(生産量、わずか5,000本)の凝縮感は、トップクラスの「サンテミリオン」を圧倒するほどの完成度を誇り、以後のヴィンテージ共々、注目すべきシャトーとなるだろう・・・。